お客様がサロンを変わる理由は、単純にサロンの技術力だけににあるのではない。
接客やサービスの中身、時間や料金など、さまざまな要因が絡み合う。
サロンにとっては常識でも、お客様にとっては非常識。
些細なことの積み重ねが大きな失客の要因につながることを意識しよう。
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失客はどうして起こるの?
失客の原因はじつに単純明快。「お客様が、そのサロンに行く理由がなくなった」からです。
お客様が来店してくれるのは、心理的なものや経済的なもの、技術的なものや環境的なものなど、そのいずれか(もしくはすべて)を気に入ってのことだと思います。
特に、おもてなしや施術態度などの心理面に影響するものや、似合うヘアスタイルが提案できる、髪の悩みを解決できるといった技術的なものに関しては、お客様はとても厳しく見ています。サロンに求められている、主軸となるものだから当然ですね。そして、この2つが気に入らなくなったとき、お客様はサロンに見切りをつけます。これが失客です。
見方を変えれば、お客様はサロンの教育体制の良否や、スタッフの技術力の有無(つまり努力しているかどうか)など、経営者からスタッフを含めた人間の質を問うているとも考えられます。人間のすることですから、なまければお客様は来ないままだし、日頃から努力を積んでおけば、お客様は定着します。失客はこころがけ一つで防げるものなのです。
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どうすれば失客は防げるのでしょうか?
そのお店の規模や客層によって対応策はまちまちです。ですから、「こうすれば必ず防げる」といったものを紹介することをはここではできません。しかし、どのお店にも同じように、ある程度の効果をもたらすものは存在します。「お客様対応マニュアル」です。
今の時代は常識的な「挨拶」「返事」「片付け」などを親や学校がしつけてくれません。したがって経営者がそれを教えなければ、彼らはお客様に対して対応することができない。これはサービス業に従事する人間にとっては致命的だと言えるでしょう。スタッフの一生の問題だからと言う信念を持って、少々厳しくしつけるようにがんばってください。
「あの美容師はダメだ」「あの接客は嫌だ」等とお客様に言われる前に、失客させないためのマニュアル教育が絶対に必要だと心から思います。マニュアルの力を馬鹿にしてはいけませんよ。
1.おもてなし編
・準備
開店2時間前に出勤して、店頭の清掃、植木の手入れを行う。トイレ掃除は、店長の仕事。
・用具
雑誌、タオル、クロスの確認。ひざ掛け、ガウンは清潔か。
・店内清掃
赤ちゃんがハイハイしても大丈夫か。鏡、天井、床、壁をチェック。
・お出迎えとお見送り
ドアを開けてお出迎え。挨拶とお辞儀の方法、返事の仕方、ご案内の方法を統一。お見送りは外まで出て行う。
・雨の日
雨の日に来店された場合は、乾いたタオルでお洋服を拭き、着替えのガウンを勧める。靴の替えを用意して、その間にお客様の靴を磨いておくとなお良し。
・お詫び
お客様を30分以上待たせてしまった場合は、手書きのお詫び状を送る。
2.美容技術編
1.お客様に「今のヘアスタイルで1番気に入らないところ」を聞き出してから写真やチャートなどをもとに似合うスタイルを提案する。提案は毎回違ったものを。
2.ヘアスタイルが決まったら、その日にかかる料金の確認を行う。
3.施術中はお客様と鏡の中で一体となり、お客様が美しくなっていく姿を想像をする。お客様が雑誌を読んでいたり目を泳がせているようでは美容師として半人前。
3.癒し編
1.シャンプー後の頭皮と肩の3分間マッサージ。反応が良ければ10分間程度の有料マッサージを勧める。
2.髪や頭皮の悩みを解決するための専門知識を学ぶ。これは必須。
3.話し方の基本を学ぶ。平易語からの脱皮。
4.身だしなみを整える。防止はかぶらない。
すり切れたジーンズは禁止。鼻、唇のピアスは外す。ラメ入りの化粧、臭いの強い香水も禁止。他にもたくさんあるが、あとはサロンの美意識を信じる。
4.聞き役編
1.家庭や勤務先の愚痴を聞く。聞き役に徹しながら、適切なアドバイスを送れるようになる。
2.お客様が自分を飾らずに、本音で過ごせるような会話術と声の調子を訓練する。
5.ありがとう編
お客様から「ありがとう」と感謝されるマニュアルをサロンで考える。
「来店時」「受付」「施術」「おじぎ」「挨拶」「返事」「片付け」「店内行動」「手が空いたらする仕事」「お見送り」「閉店」など。