MHAフロントベーシック講座


☆フロント十か条

 

1.無人にしないこと

2.2~3人以上かたまらないこと

3.お客様に聞こえるような私語はひかえること

4.カウンターの上は、常に整頓しておくこと

5.会計時は、料金を分かり易く提示すること

6.お預かり物の受け渡しは、両手で胸の高さを基本とすること

7.お預り物は、丁寧に扱いカウンターの上は通さないこと

8.お預り番号は、見やすい位置に付けること

9.電話の応対は明るく、予約の時は復唱確認すること

10.フロントの応対は、店のイメージを左右する大切な役割であることを絶対に忘れないこと


電話対応


お客様が来店する以前にも「接客」は存在します。それは、電話対応。電話に出てお店の名前を名乗った以上、あなたは『お店の代表』です。さあ、まずは電話の基本をマスターしましょう。

 

☆電話の3カ条

 

1.明るく 2.カツゼツ良く 3.メモをとりながら 対応しよう!

  1. 明るい印象を与えるために、必ず声のトーンを上げよう。話し声が低いと、普段は良くても、電話では顔が見えない分、無愛想な印象を与えてしまいます。特に男性の声は威圧感があるのでより意識してください。
  2. 聞き取りやすいようにハキハキと語尾に注意。そのためには背筋を伸ばすこと。声の通りが良くなり、気分もビシッとして、それが声の表情に影響します。また、話すスピードは相手に合わせましょう。
  3. 電話とメモとペンは常にワンセットで。一度聞いた内容を忘れないように、手を動かしながら話しましょう。

☆予約受付

 

〈事例:新規客がカットとパーマを予約〉

 

店員:はい。ラビッツヘアクラブ、○○がお受けいたします。

 

お客様:初めてなんですけど、予約できますか?

 

店:はい。ありがとうございます。お日にちとお時間のご希望はございますか?

 

客:15日の2時くらいは大丈夫ですか?

 

店:はい。かしこまりました。15日の2時でございますね。

担当のご希望とメニューはお決まりですか?

 

客:いえ、わからないので… 

  パーマとカットをしたいんですけど…

 

店:はい、かしこまりました。パーマとカットですね。

担当はこちらでご紹介させて頂きますね。

では一度確認いたしますので少々お待ちくださいませ。

 

⁂ おまたせいたしました。確認いたしましたところ2時のご予約は大丈夫です。

 

店:では恐れ入りますが、お名前フルネームとお電話番号をいただけますか?

 

客:美髪ボブ子です。000-××××ー0000です。

 

店:はい、ありがとうございます。

美髪様、お電話番号000-××××-0000でございますね。

では、ご予約の確認させて頂きます。

3月15日木曜日2時から、カットとパーマでよろしいでしょうか?

 

客:はい、大丈夫です。

 

店:こちらの場所はおわかりですか?

 

客:はい、大丈夫です。

 

店:かしこまりました。では、私○○が承りました。

お電話ありがとうございます。お待ちしております。

 

店:お待たせいたしました。申し訳ございません。

あいにく事前に予約のお客様がございますので、

3時からでしたら、おとりできますが、ご都合はいかがですか?

 

客:はい、いいですよ。

 

店:ありがとうございます。では恐れ入りますがお名前フルネーム・・・

 

店:お待たせいたしました。申し訳ございません。

その日は事前の予約がいっぱいになっており、

別のお日にちでは、ご都合はつきませんか?

 

客:ちょっと無理ですね。それではいいです。

 

店:申し訳ございません。またのご予約をお待ちしております。

私○○がお受けしました。お電話ありがとうございました。


🆖「やだあ、何?あの態度〜!」

電話だからといって気を抜くなかれ。お客様の視線は四方八方から降り注ぎます。「笑声」接客が大事なのです。は


☆道案内

 

お客様:あのー、今、○○駅に着いたんですけど、どう行けばいいですか?


店員:駅にいらっしゃるのですね。ではまず中央改札を出てください。すぐ目の前に交番がありますので、左側の道に出ますと橋が見えます。その橋を渡って頂いて、真っすぐに歩いてください。3つ目の信号のバス停の前にラビッツがあります。

 

お店周辺の地図を描いて、カウンターの裏などに貼っておけば、説明するときにあわてなくて便利です。具体的にわかりやすく案内してください。


🆖 「その顔は⁈」

油断大敵。仕事中は気を引き締めて。表情は言葉以上に饒舌です。笑顔に人は引き寄せられます。


☆クレーム

 

お客様:こないだかけたパーマ、すぐとれちゃったんだけど。


店員:誠に申し訳ございません。ご来店されたお日にちはいつでしょうか?


客:3日です。


店:3日にかけたパーマがとれてしまったのですね。

   (事態の把握)

店:パーマのかけ直しはいつがよろしいですか?
   (改善策の提案)

客:今日でもいいわよ。

店:かしこまりました。では何時がよろしいですか?

客:4時がいいかしら。

店:かしこまりました。ではお時間、一度確認いたしますので少々お待ちください。
お時間大丈夫です。では4時にお待ちしております。
わざわざお電話をいただきましてありがとうございます。
  (最後にもう一度、感謝や謝罪の言葉を言う)
 
☆かなりお怒りのお客様
 
店:大変申し訳ございませんでした。
もしよろしければ担当者(店長)におつなぎいたしましょうか?
  (お店を代表して、まずは謝ること)

来店受付


☆第一印象

一般に、容姿・態度が55%、話し方・トーン・声質が38%、話す内容が7%、と言われています。初めて会って3秒から3分で決まります。人は見た目が重要と言えるかも…

 

☆支持される5つのポイント

お客様の信頼を得るために第一印象をよくする5のポイント  。

 

①アイコンタクト

相手の目を見るのは、その人に関心があるから。私はあなたに注目していますよ、と言うことになるのです。

 

②笑顔

笑顔は好意を表します。

 

③挨拶

挨拶は基本です。

 

④姿勢

姿勢が良い人は、自信がありそう、誠実そう、と映ります。

 

⑤熱意

人は感情豊かな人に関心を抱くもの。常にテンションを高くしておくことが必要です。大きな声を出し、テキパキ動くことから始めてみましょう。

 

☆接客7大用語

  • いらっしゃいませ
  • 少々お待ちください
  • 申し訳ございません
  • 恐れ入りますが
  • はい、かしこまりました
  • 大変お待たせいたしました
  • ありがとうございました

 

☆クッション用語

  • 申し訳ございませんが
  • 差し支えなければ
  • あいにく

☆ご来店

*お客様の姿が見えたら、入口で出迎える。内側からドアを開けて笑顔で待つ

 
*特に初めてのお客様は入りっらいもの。かしこまり過ぎずに、気持ち良くお出迎えしましょう。
 
🆖「誰かいませんか〜?」
出迎えなし、再来店なし!この法則、忘れべからす。すでにお客様は損した気分になっています。
          
☆受付
 
店員:いらっしゃいませ。(一礼する)
会員証はお持ちでしょうか?

お客様:持ってないです。

店:初めてのご来店でしょうか?

客:はい

店:ありがとうございます。

🆗 「何だか貴重なカードのような気がしてきた」
会員証などのカードを受け取るときは、必ず両手を添えましょう。
 
☆貴重品袋を渡す
 
店:では、お持ち物をお預かりいたします。恐れ入りますが、貴重品はお預かりできませんので、こちらの袋に入れてお持ちくださいませ。
(貴重品袋を渡す)

*口の部分をお客様の方に向けて渡しましょう。
 
☆持ち物を預かる
 
店:お持ち物をお預かりいたします。
こちらがお預かりの番号札でございます。(番号札を渡し、持ち物を預かる)

*両手でしっかりと受け取りましょう。
 
☆上着を預かる

店:失礼します。
(お客様の後ろに回り、両手で衣服を受け取ります)

☆待ち合いの席まで案内する

店:こちらのお席でお待ちくださいませ。
(手のひらで示す)

🆖「げ、指指しだよ」
あっちっすよ、なんて自然体なつもり?指を揃えて示すのと、指をさすのでは、印象がガラリと変わります。

🆗 「きちんとしてるな」
指の印象は想像以上に強いもの。常に揃える訓練をしましょう。

☆カルテの記入をお願いする

店:カルテのご記入をお願いいただけますか?
表面は太枠の中に、裏面はアンケートになっておりますのでご記入お願いします。(新規客のカルテを持っ行き、ボールペンを添えて渡す)

店:(お客様の記入が済む)ありがとうございます。

店:(両手で受け取る)では、準備をいたしますので、少々お待ちくださいませ。

🆗「このサロン、私を受け入れてくれたのかな」
新規のお客様はドキドキしています。Welcome感を演出するためにも通りがかったら声をかけましょう。

*土砂降りの日
🆖足元なんて、ムレムレなのに無視。雨の話すらしない。同じ話題に飽きるのも分かるけど、ちょっとひどくない?

🆗びしょ濡れのお客様。「大丈夫ですか?濡れましたよね」さっとタオルを差し出せば、ポイントゲット間違いなし。

お会計・お見送り


☆お会計の受付

店員:ありがとうございます。

*お会計の内容を打ち込む。お会計に気を取られ過ぎて笑顔を忘れてしまわないようにしましょう。

🆖「あの人よりわたしの方が先だったのに〜」
お客様の支払いが重なったり、後のお客様を先に通すような場合は、待っているお客様が待っていると感じないように、声をかけたり、雑誌をお持ちしたりしましょう。

☆金額を提示する

店:お会計させていただきます。本日はカット4000円、カラー4000円で合計8000円でございます。

*お客様の準備ができるのを待ちましょう。
電卓の表示を明確に示しましょう。

☆おつりを渡す

店:10000円お預かりいたしましたので、2000円のお返しになります。

*お預かりしたお金は、お客様から見えないところに置いておきます。

*お札を返す場合は、1枚ずつ数えながらお渡しします。小銭をお渡しするときは丁寧に手を添えましょう。

🆗 「わあ、ピン札だ♡」
ラビッツでは、おつりはピン札でお返ししています。毎朝両替に行く手間はかかりますが、お客様の反応は上々です。お札の価値が倍増した気分になるそうです。
☆スタンプを押す

店:本日は8000円でしたので、8個押させていただきますね。(丁寧にスタンプを押す)
あと5個で一杯になりますね。全部たまりますと、1000円のお値引きになりますので、ぜひご利用下さい。

*スタンプを押すときは、はっきりと見せながらおします。もう少しで一杯になるようなら、そのことをお伝えして、お客様の記憶に残しましょう。
ラビッツでは、消費税分の割引にしています。

🆖 「きっと技術だってだらしないのよ」
フロントで見えちゃいけないものが見えてる!飲み物や宅配の箱が出しっ放しです。店内の様子を見て、お客様はいろいろなことを想像します。

☆上着をきせる

店:失礼します。 
(お預かりしたときと同じように、後ろに回って両手で着せる)
☆髪を整える

店:後ろ髪失礼いたします。(声をかけてから髪を整える)

*せっかくセットした髪の毛が乱れてしまわないように。美容室を出た後、お客様は必ずもう一度髪をチェックするものです。

☆荷物を渡す

店:お返しし忘れているものはございませんか?(お客様にお持ち物をすべてお返しする)

*ピアスやイアリングなどの忘れ物がないか確認しましょう。

☆ドアを開ける

*お客様より先にドアを開けて待つ

店:本日はありがとうございます。またのご来店をお待ちしております。(お見送りする)

*お客様が見えなくなるまでお見送りをする。
お客様に応じて、お見送りの仕方は変えます。
下までお見送りした方が喜ばれる方もいれば、
あまり大げさなのは嫌いな方もいます。

🆗 「忙しいのにすいません」
お見送りは必ず担当者も一緒にします。人気のある担当者が、わざわざ見送ってくれるのは嬉しいものです。



✳️ 予約

 「お客様との一番最初のコミュニケーションで、何ができるか」


サロンに電話をかけて予約を取る。

何気ない行動だけど、ちょっと緊張するんじゃないかな?

初めてだったら「どんなお店だろう」という思いがある。

また、二回目以降でも、「予約がいっぱいで、断られたらどうしよう」
という不安があるんじゃないかな?

僕らから見ても、予約の受付は、お客様との一番最初のコミュニケーションだ。

これに気を使うのは当然のこと。

単純にお客様が予約の電語をリッツに入れて、
「あいにくその日は予約がいっぱいです」と言われたら、
そのお客様は、他のサロンに電話するだろう。

当然のことだ。

でも、都内に5店舗あるリッツのうち、他の店なら予約が取れた
としたら、リッツとしてお客様を失うことは避けられる。


僕たちリッツは、ヘアサロン業界でいち早く「リザベーションシステム」
を導入した。

予約専門のオペレーターが、お客様との最初のつながりを持つ
「電話」での対応をしている。

リザベーションセンターには、専用のオペレーターを用意し、
オペレーターの前に設置されたディスプレイで全店の予約状況、
営業状態が一目でわかるようになっている。

オペレーターは予約を把握し、お客様の希望を聞きだし、
サロンと担当者を振り分ける。

二度目以降の予約時には、ディスプレイにはお客様の前回のカルテや
個人データが、電話を受けると瞬時に映し出される。

「あ、山本様ですね。いつもありがとうございます」
って、ここから「記憶に残るサービス」ができるわけだ。

「あ、私のことちゃんと知ってるんだ」
って思ってもらえる。

前回の感想やクレームをこの時点で聞き出すのも、オペレーターの役目だ。

担当した美容師が気に入らなかったなんていう場合には、
別の店舗と担当者を紹介したりもする。


ここからは実際に、リッツがお客様とどんなやりとりをしているのか
体感してもらいたい。


お客様が初めてリッツのリザベーションセンターに電話をかける・・・。


リッツ「お電話ありがとうこさいます。リッツでこさいます」

お客様「予約したいんですけど・・・」

リッツ「いつごろの予約がよろしいでしょうか?」

お客様(早くしたいからなあ・・・)
   「明日でお願いできますか?」

リッツ「かしこまりました。担当者のこ指名はこざいますか?」

お客様(え~、初めてだからわからないよ~。
    でも上手な人がいいんだけど、上手な人をお願いします、
    なんて言えないよぉ・・・)
   「別にないです」

リッツ「では、○○をこ紹介させていただきます」

お客様(どんな人なんだろうな・・・)

リッツ「こ希望であれば、担当者のプロフィール、料金、地図を載せた
    メモをお送りさせていただきます。
    EメールアドレスかFAXはこざいますか?」

お客様(え? プロフィール送ってくれるんだ・・・)
   「あ、FAX番号は○○○○○○○○○○です」

リッツ「かしこまりました。ではお送りいたします。
    明日○○時に○○店。
    担当は○○がお待ちしております。
    私○○がお受けいたしました」


さて、この段階で生まれてくるお客様にとっての「不安」とはなんだろう?

一番の不安は、
「どんな人がやってくれるんだろう」
ということ。

次に「料金はいくらかかるんだろう」「場所はどこにあるんだろう」
というような不安。

それらの不安をこの「予約」の段階で取り除いてあげる。

そう、お客様に情報を与えてあげればいいんだ。

どんな人が切るのか。料金はいくらなのか。どこにあるのか。

全部教えてあげればいい。

この「リザベーションセンター」のシステムは、ホテルの予約システムを
参考にして、僕たちがいち早く取り入れたものだ。

同じサービス業であるホテルが、予約専門のシステムを構築しているのに、
なぜ美容室ではこのシステムがなかったのだろうか?

また、はじめての電話でも10回目の電話でも同じ対応では、
「記憶に残るサービス」にならないだろう。

お客様の情報を予約電話の段階からコミュニケーションとして
利用できるこのシステムには、僕はかなりの自信を持っているんだ。

✳️ 入店

 「『瞬間』ということをいえぱ、この瞬間ほど大事なものはない」


お店に入る瞬間って、ちょっと緊張するよね。

飲食店などでも、ドアを開けた瞬間、
「な~んか、雰囲気悪いなあ」
っていう店、あるでしょう?

お店の第一印象を決定づけるのが、「入店」の瞬間だ。

美容業界では、お客様は初めての入店で
「自分に合う店か、合わない店か」
を決めてしまうといわれている。

ここでもお客様の不安を取り除かなければならない。


入店の際にお客様が感じる不安とは、
「どんな雰囲気のお店なのかなあ」
ということ。

わからないから、ちょっと緊張したりする。


お客様(やっぱり、美容室ってちょっと緊張するなあ・・・。
    どんなところなんだろうな・・・)

リッツ(フロント)
   「こんにちは!」

お客様「あの、予約している○○ですけど・・・」

リッツ「はい、お待ちしておりました。○○様ですね。
    本日はカラーとカットでよろしいですか?」

お客様「はい」
   (フロントの人の笑顔、安心するなあ・・・)

リッツ「では、お荷物をロッカールームの方へ」
   (スタッフ、マネジャーがロッカールームまでご案内)

お客様(へえ~、ロッカールームがあるんだ。荷物も安心だよね)


せっかく予約の段階での電話応対が良くても、入店して
「なんかいやな感じだな~」
と思われたら、そこから先のプロセスは、すべてなくなってしまう。

お客様の「なんか緊張するな……」という気持ちをときほぐし、
お店に対する安心感を与え、かつお客様に、「雰囲気の良いお店」
と思ってもらわなければならない。


ここでのやりとりで一番大切なのは、受け入れる側・・・
スタッフの「笑顔」だ。


必ず笑顔でお迎えする。

「雰囲気の良い店」と思ってもらうには、雰囲気の良い人が
お迎えするのが一番だ。

そして、雰囲気の良い人というのは、ほとんどと言っていいほど、
「笑顔」が良い人じゃないかな。

もともとその人が持っている笑顔もあれば、意図的につくり上げた笑顔
もあるだろうけど、いずれにしても、笑顔からは、内面からにじみ出る
「豊かさ」みたいなものが伝わってくる。

だから、初めてのお客様と接するスタッフは、自分の笑顔を鏡で
チェックすることを忘れない。

「笑顔」は、お客様のその後を決定する、とても重要な武器なんだ。