ヘアスタイルを作る場合、上下のバランスが重要です。
昔から卵型が美人の条件と言われています。これは、卵を天地逆にした形を指します。つまり顔の中心に横線を引いて、上下のバランスを比較した時、目元より下の方がスマートと言うこと。このことはアゴの張りとは関係なく、アゴの張りが四角張っていても上下のバランスが下のほうが横幅がなければOKなんです。
重要なのが、パッと見た時の上下のバランス。
つまり、ヘアスタイルを作る場合、顔の下半分がワイドに見えるヘアスタイルはタブーと言うことになります。
特に中高年になってくると、こめかみの部分がやせてきます。たるみによって下に長くなってしまう場合と上がやせて下が膨らんでくる場合があります。だから40代以降はオニギリ型と顔の長い人が増えてきます。
ただ、バランスとは均等と言うことですので極端な大きさの違いは不安定感が際立ってしまい、アンバランスになります。
インナーラインとは顔とヘアスタイルの内側の境界線のこと。アウターラインとはヘアスタイルの外側のラインのことを言います。(詳しくは、後で説明)
例えば、面長の人を縦長のシルエットにすると余計に顔が長く見えますね。
このように元よりも〇〇過ぎて見えしまうのはNGと言うことになります。
ただ、目鼻立ちは違うのです。目が大きいのが魅力の方が寄り大きく見せたり、唇のぽってり感を強調したり…と言う、目鼻立ちのポイントを引き立たせるのはOKです。しかし、輪郭の場合はあまりその特徴を強調させない方が良いと言うことになります。
丸顔は可愛いけど、丸すぎてもすっきり見えない…。逆三角形もいいけど、頬が貧弱でアゴが尖り過ぎているのも女性らしく見えない…。
今は個性豊な時代です。一律の答えを求めるのではなく、「〇〇過ぎている」かどうかに着目し見極めることが大事なキーワードです。
昔は頭でっかちに見えるスタイルがよくあったのですが、最近はナチュラルなスタイルが多いので見かけ無くなりました。しかし重要なのは、ヘアスタイル自体はいくら大きくてもOKです。ただし、頭蓋骨、つまり頭のサイズをどう連想をさせるかが大事です。
逆に言えば、ヘアスタイル自体はいくら大きくても頭蓋骨自体の大きさを連想させないスタイルにすることです。
例えば、地肌そのものが膨らんで見えるようなスタイルは頭そのものが大きいと連想をさせますからNG。
しかし、地肌が見えるようなパートやシースルーになっているスタイルは、仮に大きくても頭そのものが大きく見えないのでOKなのです。
顔を魅力的に見せると言うのは目や鼻、口の配置バランスが条件にあります。
ヘアスタイルを作る上で重要なのは、頬の長さとアゴの長さに着目すること。理由は、頬とアゴはヘアスタイルで隠すことの出来ない部分だからです。
頬とアゴを見たときにバランスの悪い方はそこの部分に視線が行かないようにすることがポイントとなります。
例えば、頬が長い方は横のヴォリュームを付けるとかシルエットで調整をしたり、毛流れの方向で目線をそらす工夫をします。
その他に額が狭い方も注意が必要です。日本人らしさでもありますが、野暮ったく見えます。
着物や日本髪には狭い額も悪くはありませが、欧米化された日常の洋装に似合うようにするためには、ある程度立体的な顔立ちに見せる必要があります。
そのためには、額をいかに狭く感じさせないかが大事なポイントです。
例えば、狭い額を隠すために前髪を下ろすなら、奥行きを後ろから深くとることです。
一番野暮ったくなるのは、狭い額に前髪だけ下ろして分け目があるようなスタイル。よくドラマのキャラクター作りのヘアメイクで田舎の女性や子供さんを作る時に利用するそうです。
今度は顔の印象を決めるインナーラインとアウターラインの話です。
髪型を変えることでインナーラインとアウターラインのフォルムが変化して顔の見え方も変わります。そのため、インナーラインの取り方によって顔の見え方がタブーになってしまう人もいます。また、アウターラインで輪郭をそのまま連想させてしまう場合もあります。
例えば、インナーラインで言えば、耳を出す場合と出さない場合の印象の違いですが、多くの女性がアゴは細く見せたいのに意外に顔を隠したがります。でも、耳を隠してアゴを細く見せるのは至難の技です。耳は肌色で顔の延長です。だから、耳を出すことでアゴが尖ってV型に見えるのです。下膨れの人は片方だけ耳を出した方がスッキリと見えます。
丸顔の人が顔を長く見せたい場合は、前髪を斜めにすると縦長に見えます。左右対称よりも、アシンメトリーにした方が物を斜めに見せるので誤魔化せるのです。
顔を小さく見せたい場合は、襟足を狭くしたダイア型にすると効果的です。
例えば、内巻きの場合は、人の視線が顔の内側に向かって進むので、顔だちを目立たせたい場合はあえてインに入るヘアスタイルを作ります。ただ、鼻が丸くて目立つ人の場合に、内巻きにしてしまうとさらに目立ってしまうので要注意です。
逆に、外ハネにすると誰でも似合うのは視線が外に向かうため、顔の造作がシビアでは無くなるからです。視線を外に行かせば、顔だちへの着目度合いが低くなります。
✳️ 顔の造作の強弱は切り口にあり
チョップカット(イレギュラーカット)はぼかしの効果があり、ブラントカットにはくっきり効果があります。ですから、ブラントカットした場合は、頬が長いとか目が小さいなど、顔の特徴が目立ちます。
逆に、イレギュラーカットにすると、ぼかし効果がありますから顔の中の窮屈な場所や間広い部分が気にならなくなります。
シャギーカットが流行ったのは、シビアではないので誰にでも合わせやすいからです。
反対に動きのないボックスボブなどは美人の方に良く似合います。これはすべて顔の造作に視線が行くからです。
例えば、男性お笑い芸人のマッシュルームは、顔だちのさえない度合いをわざと強調し、効果的とも言えます。また、顔の個性を目立たせたい女優さんがボックスボブにしています。
少し前の時代に比べて現代の日本人の顔だちが良くなったように感じるのは、実際に良くなった部分もありますが、イレギュラーなカットが多く、顔だちのぼかし効果が効いているからです。
さらにヘアカラーの普及で、生え際の境界部分もぼやけて見え、顔だちのぼかし効果に貢献しています。
ベスト・マッチング・ヘアスタイルの決め方は、まず「顔立ちマップ」で顔のタイプを分析することから始まります。
この「顔立ちマップ」の中でどのタイプにあてはまるかを分析します。
タブーとは「〇〇過ぎる人」のことを言いますが、この「顔立ちマップ」の真中にに寄せなければいけないということではありません。ただ、誰が見てもキレイと思わせるには、真中に寄せるのが無難という考え方です。
〇〇過ぎているから可愛く見えないという顔立ち。パーツそのもののひとつひとつは良くても、福笑いの原理で見ると同じ顔の輪郭なのに、眉・目・鼻・口の配置によって違う個性が出てきます。
誰にでも似合うヘアスタイルは、顔がたまご型に見えることを目指したスタイル。つまり、「顔立ちマップ」の中心を目指したもので、タブーを全部クリアしていて欠点のないスタイルのことです。
ただし、それがその人に一番似合っているかどうかは別。ですから、ベスト・マッチング・ヘアスタイルを提供するには、お客様の顔立ちがどのタイプになるのかを知ることが重要です。
これまではバランスでのタブーの話でしたが、印象やイメージのタブーもあります。「顔立ちマップ」で言うと、バランス軸かフォルム軸のどれかが合っていないと難しいと言うことです。
例えば、クールタイプの顔立ちの人をフレッシュタイプやフェミニンタイプの印象にもっていくのは良いのですが、キュートタイプにすると例えバランスが良くても印象が違い過ぎて似合わなくなるということです。
つまりマップ軸の対抗戦への変化は避けた方が良いのです。顔立ちの印象とヘアスタイルそのものの印象のギャップがありすぎてても難しいということになります。
そこに気づくことが大切ですが、逆にどのイメージが一番難しいか、難しい方から探していった方が簡単です。
お客様のなりたいイメージが果たしてお客様にマッチするのか?また、どのようにすればベストマッチングな提案が出来るのか?まずは、お客様の素材の分析から始まるのです。
⭐️ STEP1
まず、顔立ちマップの「バランス軸」でお客様のポジショニングがどちらに属するかを見分ける