MHAカウンセリングベーシック講座 Ⅱ


傾聴カウンセリング


傾聴カウンセリングとは、コーチングの手法をカウンセリングに取り入れたもの。お客様の話に耳を傾けて聴き、お客様があらかじめ持っている答え(真意)を素直に引き出してあげるカウンセリングである。それによってお客様が安心して施術を受けられ、できあがりへの期待感が強まる。

 
☆傾聴カウンセリングの手順

まず始めにお客様の名前を呼んでから、自己紹介をする。そしてお客様に安心感を与えるためにYESで答えられる3つの質問をする。例えば「今日はカットでよろしいですね?」など。その次にお客様のやりたいスタイルが決まっているかを聞き、それに対しての課題や要望を3つ聞く。例えば「気になることはありますか?」や「やってみたいことはありますか?」など。その答えに対して、もっと詳しく質問する。この時にくどくどならないように注意する。それを聴いてお客様の真意を理解して、こちらからの提案わする。提案した後に忘れずに内容(スタイルや時間など)を確認して、お客様と内容を共有する。最後にもう1度質問をする。「他に何かありませんか?」「他には大丈夫ですか?」など。

傾聴カウンセリングに必要なスキルは、大きく分けて5つある。この5つのスキルを身につけていくと、傾聴カウンセリングもうまくいくようになる。

1.傾聴のスキル  ー  心を傾けて聴く
2.質問のスキル  ー  核心をつく
3.承認のスキル  ー  認める・受け入れる・誉める
4.提案のスキル  ー  教えるのではなく、一緒に答えを引き出す
5.自己を律する  ー  自分の価値観や思い込みを入れずに、相手の話を聴くこと

1.傾聴スキル

☆傾聴スキル第一段階「要約」
相手の言ったことを繰り返すことによって、安心感を与える。また、お客様が話しをしていて不安にならないように、例えば「もう少し詳しくお話しください」「もっと教えてください」と話をつないでいくと、お客様のニーズが引き出せる。

☆傾聴スキル第二段階「共感」
ペーシング・・・相手の話のペースにあわせる(はなすスピードや声の大きさなど)。
ミラーリング・・・相手の表情・身振り・手振りに合わせる。
共感の言葉・・・相手がかけてもらって嬉しいと思われる言葉を言う。また、お客様の良さをさらに引き出すために、センスアップアドバイスを行う。

☆傾聴スキル第三段階「受容」
一旦、自分の「価値観」や「思い込み」を捨てて相手の話を受け入れた上で、カウンセリングを行う。

2.質問スキル

質問には2つ基本型がある。

☆1つは、クローズドクエスチョン(特定質問)
答えが「YES」「NO」に限定された質問。会話がスムーズになるが得られる情報量は少ない。

☆2つ目は、オープンクエスチョン(広大質問)
返答の幅が広い自由度の高い質問。相手が答えにくい場合もあるが、真意をより深く知ることができる。
お客様との信頼関係をつかむために質問の展開(広めるか深めるか)を意識的にやっていく。

○チャンクダウン・・・自然と話題の内容に深さを求めていく。
例)  客:駅の隣にイタリアン料理ができたわよね。
スタッフ:何がおいしいですか?内装はどんな感じですか?

○スライドアウト・・・気づかぬ間に話題の関連性を広げていく。
例)   客:駅の隣にイタリアン料理ができたわよね。
スタッフ:その隣にもおいしいラーメン屋さんがありますよ。


3.承認のスキル

☆ストローク(相手を認める・誉める)

言葉でしっかりと好感を伝えることは、コミュニケーションの重要なスキルである。相手の良い面をしっかりキャッチし意識しながら言葉にしていく。


4.提案のスキル

傾聴カウンセリングでは、話す割合はデザイナー30%、お客様70%の割合が理想だが、会話をコントロールするのはデザイナー側であることを忘れないように注意する。そして、お客様の答え(真意)をよく理解した提案をする。最終的に決めるのはお客様であることを忘れずに、押しつけにならないように提案する。


☆聞き取りは深くかつ深すぎず

お客様が本当にどうしたいのかをつかむことが一番。
それには、しっかり聞き取り、少しずつ提案してあげることが大事です。
最初にしっかり聞かないと、お客様の要望どおりにやってすっかり変えてしまった後で、こんなに変えたくなかったということになります。
お客様が本当にスタイルを変えたいのか、あるいは、いつもと同じでいいといわれても、どう変えていいかやり方が分からないということもあります。
変えたら手入れの方法が大変になるんじゃないかとか、心配になることもあると思います。
急に変えることに不安もあるでしょう。だから、そういう場合、少し分け目を変える、少し髪を下ろす、上げる。そういうちょっとしたイメージチェンジで、お客様の心も変わります。
信頼関係をつくるには、じっくり聞き取ることが大事だと思います。


✳️4つの行動タイプ


人間をタイプ別に分けてカウンセリングをする。
いろんなお客様がいらっしゃいますから、時間をかけてカウンセリングします。
安心してもらうことから始めないといけないので、目を見ながらよーく話しを聞くことです。
全部聞き取って、ちゃんと聞いてますよとアピールし、その場で答えられるものは答えます。

✳️リピート率を高める
アフターカウンセリング

施術中の中間カウンセリングでは、今なにをしているのか、お客様に納得してもらいながら、工程を説明する。
お客様か望んでいるとおりにならない場合もあります。
例えば、髪を伸ばしている途中なのにパーマスタイルを希望されても無理なので、最終地点にいくまでにどうしたらいいのか説明して、アフターカウンセリングで何か月後にはこういうパーマにしましょうとイメージづけをすると、また来店していただけます。
手入れの説明とかヘアスタイルの維持をするためにはどうするのかを説明し、新しい提案を行います。
きちんとイメージを共有していることをわかっていただき、安心していただくという意味で、初めのカウンセリングは一番大事です。
リピート率を高めるにはアフターカウンセリングが大事です。

✳️新規のお客様にするファーストカウンセリング

新規を接客するにあたって重要な事はカウンセリングです。

カウンセリングでは重要な項目がありますそれは、

  1. カウンセリング時間
  2. 施術内容
  3. デザインの確認
  4. 施術料金
  5. 施術時間
  6. 普段のお手入れの仕方
  7. 前回の履歴
  8. 悩みの共有
  9. 否定しない
  10. 嘘をつかない
が新規のお客様に対して重要な要点です。

1.カウンセリング時間

まずカウンセリングの時間ですが私は少なくとも15分はかかります。

少し長いと思う方もいると思います。実際私もカウンセリングを行ってお客様が途中で『あぁもういいわお任せする』となる場面も少なくありません。

しかし、初めてのカウンセリングはお客様との信頼関係を築けるか築けないか重要になってくるので十分な時間を取る事が大切です。

2.施術内容

まず始めに必ずお客様の要望を聞き施術内容を説明しましょう。説明をするときは専門用語を使用しないで小学生でもわかるように説明をしてあげる事が大切です。

なぜならヘアスタイルに関する情報は閉鎖的で雑誌に記載されている情報も、マスメディアが作り上げた情報であてにならないからです。

また、インターネットを使用してもSEO対策を施したいらない情報が乱立しているので意外とお客様も知っているようで知っていません。

もし説明をする時に、仮にあなたが伝える情報が間違っていても構いません。なぜならあなたの知っている情報は長年培った中での経験が生んでいる事なので。間違いではありません、正解でもあり不正解でもあるかもしれませんがお客様にとってプロがいう事は正解なのです

3.デザインの確認

これは当然です、お客様がもってきたビジュアルや店内に置いてあるスタイルブックで確認をしましょう。

そして、お客様は確認したスタイルブックのモデルを見て、スタイルブックのモデルになるイメージがついてしまうので実際のお客様の髪の毛を使って確認をする事が大切です。

具体的には髪の毛の長さをどれぐらい切るのかを隠して確認をしたり。

髪の毛を持ち上げてどれぐらい段差が付くか?そして毛量がどれぐらい軽くなるかを出来るだけイメージできるように確認をします。

時にはコテやアイロンを使用して実際のイメージを共有する事が大切です。

イメージを付ける事で可能なスタイルが明確になり、希望のスタイルにはどんな施術が必要になってくるのかが明確になってきます。

4.施術料金の説明

美容室あるあるをお話しします

スタッフA『トリートメントしませんか?すごくいいですよ!』

スタッフB『このシャンプーつるつるしていいんですよ!』

お客様『そうなんですか・・・』

お客様の心(今日は結局いくらぼったくられんだろう。)

 というような話は珍しくありません。

大概のお客様は予約の技術+3千円~6千円余分にかかると思い多めにお金を持ってくるのが当たり前です。

これは美容師が今日いくらになるかを明確にしていない事からで、お客様はいつも不安でいます。

トリートメントがいくら髪の毛に良いからと言っても最終的に金額がいくらになるのか不明ではやりたい気持ちにはなりません。

そして、おすすめされたシャンプー剤やトリートメント剤も価格が。わからなければ購入しないし施術を拒否するのが当たり前だという事を頭い入れておきましょう。

もちろん中には金額を気にしない方もいますが、大半のお客様は美容院での金額を不安にしている方が多いという事に気づきましょう。

5.施術時間の確認

施術時間は自分の出来る時間+15分を必ず伝えましょう。

+15分は最終的にお客様とスタイルを確認したうえで微調整する時間です。

カットが1時間かかるのであれば1時間15分にしましょう。

仮に微調整がなくて1時間で終わった場合、お客様は思ったより早く終わったと感じますが、逆に1時間とお伝えして15分オーバーした場合はあまり良い評価を得る事はできませんので必ず無理をしないで少し長めにお伝えをしましょう。

もちろん施術時間が短いに越したことはないのでカットが1時間ではなく30分、15分で出来る努力も必要になってきます。

6.普段のお手入れ方法の説明

お客様の希望スタイルを叶えるにあたって普段のお手入れ方法を聞く事も重要になってきます。

  • 普段はブローをするの?乾かすだけなのか?
  • 洗い流さなトリートメントは使うのか?
  • スタイリング剤を使用するのか?
  • どんなスタイリング剤を使用しているのか?

 その他にもたくさん項目はありますが普段のお手入れ方法を聞く事でできるスタイルは大体決まってきます。

もし、くせ毛の方でショートの希望であった場合普段ブローも何もしなければ当然希望のスタイルは自宅で再現できません。

もしそれでもショートスタイルにしたい場合はストレートパーマや縮毛矯正が必要になってきます。ストレートをしない場合は自宅でのブローやヘアアイロンの使用が必要になってきます。

お手入れ方法を聞く事によってお客様の希望スタイルを叶える為のアドバイスもできるので必ず聞いておかなければいけません。

また、自宅のお手入れ方法から最善のスタイルをお客様に提案できるのでしっかり聞きましょう。

7.前回の美容室での施術

必ず前回の美容院での施術を確認しましょう。そして、聞き出すよりも重要な事は見る力です。

お客様は3ヵ月前の事や半年前の事なんか覚えていないのです、ましてや1年前の事なんかもう記憶にないのです。

そこでこちらから『1年前にストレートパーマをやってますね』と言ったら

どうですか?

やっぱりプロだと思いますよね。前回の履歴も聞く事は大切ですがこちらから確認をする事も大切なので

髪の毛にどんな施術がされているか見る目も養いましょう。

8.お悩みの共有

お客様は様々な悩みを抱えています。くせ毛や直毛など悩みは人それぞれです

美容師でありがちな事は毛量が多い・くせ毛・ダメージに対しての指摘です。

お客様は私たち美容師が思っているよりも自分の髪の毛をよくしっています。

そして私たちが思っているよりも、くせ毛やダメージに対して日々改善しようと、シャンプーや洗い流さなトリートメント様々な試行錯誤を行っています。

 

そんな努力をしているお客様は『傷んでいますね』と言われたら『やっぱりそうなんだ』とがっかりしてしまうのです。

しかしこちらが『傷みを気にしていますが大丈夫です』の一言があったらどうでしょう?少し希望がもてますよね?

また、『しっかりケアしていますね』という一言があるだけでも違ってきます。そうする事によってもっど頑張ってケアしようと言う気持ちが生まれるのです。

お客様の髪の毛をしてきするのではなくお客様の努力を見極める事が大切です。

9.否定をしない

美容師あるあるです。よく美容院で聞くフレーズ

美容師『うちは他とはちがいます』

美容師『あそこの美容院は・・・』

美容師『あのシャンプーは・・・』

そんな話はお客様からしてどうでもいいのです。肝心な事は今日綺麗になれるかなれないかだけです。

大体人を否定したり誰かを蹴落とす事が好きな方は居ません。そんな美容師には誰もついてきません。

そんな事を言っているよりも大切な事は自分のサロン・自分のこだわっている事をお客様に伝える事です。

そして前回通っていた美容室や使用しているシャンプーをいろんな角度から見てみましょう。

少なくとも前回行っていた美容院は何回か通っていたので気に入っていた訳で、使用しているシャンプーは気に入ってるからお客様が使用しているので否定はされたくありません。

 

そして、一般市場に売られているシャンプーとサロンに売られているシャンプーを比べるとお客様の満足度は一般市場の方が高い事が事実です。

これは一般向けのシャンプーの方がお客様の悩み・生活スタイル・価格などしっかり市場をリサーチ出来ているからです。

市販のシャンプーを否定してもなんの特にもなりませんし否定したところでお客様が市販のシャンプーを変える事はないのです。

大切な事は『○○シャンプーすごくツルツルになっていいよね』『でも、このシャンプーの方がもっとツルツルになるよ』と言うだけでいいのです、後はお客様が良いのか悪いのか決めます。

10.嘘をつかない

これが一番重要な項目です。嘘をつかない事が最も重要です。

もし、施術がうまくいっていなくても気付いたらすぐ謝罪してやり直しましょう。

そして、カウンセリングで自分のできる事できない事をお伝えしましょう。

 

よくあるのがカラーリングで希望より明るかったや暗かったです。これは美容室で最も多いヘアカラーのミスマッチです。

もし、自分でも明るい又は暗いと思った時はすぐにお客様に説明しましょう。ここでごまかすとお客様は美容師・美容室の技術力をそこまでと思います。

無理にごまかすとそのお客様は必ず技術がない美容師としてのレッテルを張られます。それだけではすみません、周りの友達や家族に噂が広がります。

ですからもし技術のずれを感じた場合は必ず自分が謝罪しましょう。

 

カウンセリングで出来ない施術を無理をしてやらない事です、自分のできる技術ならやりましょう。

無理して出来ない事にチャレンジする事はありません。少しでも心配であればお客様にどうして出来ないかをしっかりお伝えして、それでもチャレンジしたい場合に施術しましょう。

成功すればそのお客様は一生顧客になります。

カウンセリングのまとめ

以上の項目を私はファーストカウンセリングとして必ず行ています。新規のお客様の場合は聞く事が多いので予約時間を施術時間+30分を見ておくと良いと思います。

特に初めて来店されるお客様はカウンセリングだけでなくアフターカウンセリングもあるので必ず時間がかかります。

 

私はこの方法で新規のリピートは50%を超え既存のリピートは90%を現在でも

誇っていますもちろんこれは3ヵ月のリピートになります。

10の項目は明日からすぐできるわけではありませんが少しずつ取り組むことで成果が必ず出ると思います。

皆様がんばって売上をあげましょう!!

by  bello