MHAカウンセリングベーシック講座 Ⅰ


カット,カラー、パーマの技術は完璧にマスターしたはず。デザインだってうまくつくれるのに、なぜかお客様のリピートにつながらない。サロンワークでお客様にヘアスタイルを提案するとき、デザインや技術力のほかに必要なものがある。それは「お客様との信頼関係」だ。多くの女性から支持されるサロンは、お客様の来店回数に合わせて、お客様の要望と技術者からのスタイル提案の比率をコントロールしている。これがお客様との信頼関係を高めて確実にリピート客を増やす秘訣。

★ カウンセリング(英: counseling)とは、依頼者の抱える問題・悩みなどに対し、専門的な知識や技術を用いて行われる相談援助のことである。

★ コンサルテーションとは、お客様の期待と求めに応じて提案 ・指示 ・アドバイス を提供しなければならない。さもなければ相談活動が進展しない。つまりコンサルテーションでは知識 ・情 報 ・技術 ・戦略 ・技法 ・方法 ・提案 ・アドバイスを対象者に伝え授与するという側面が強く、コンサルティ(お客様)もそれを求めている



カウンセリング時のチェック項目


✳️外見のチェック

主に、目で見て判断する視診で見極める。

☆体型

体に対して、髪の長さが適切かを知ることができる。その人に合った長さ設定を考える材料。

☆セット面での体と髪のバランス

体型の場合と同じポイントでチェックをする。さらに顔の大きさを見て、レングスやシルエットを考える材料にする。

☆顔立ち

顔のかたち、目鼻立ちや各パーツのつき方から、スタイルのフォルムをどのようにするか、どこにポイントを置くかを判断する材料になる。また、お客様の表情の有無は、ライン設定を決める手がかりになる。例えば、無表情の人に強いラインでスタイルを構成すると、より堅い感じのイメージをもたせてしまうことが多いので、注意。

☆メイク

その人のファッションの好みを知ることができる。また、ヘアカラー施術時の色味選定とリンクさせて考える材料としても使える。

☆ファッション

メイクと同じポイントをチェックする。

☆現在のヘアスタイルとお客様のスタイリングの力量

お客様の好きなヘアスタイルの傾向を知る手がかり。また、スタイリングの力量によっては、パーマ提案をする場合、スタイリングのアドバイスを重点的にする必要がある。

✳️嗜好性のチェック

主に、問診で判断する。

☆性格

性格を判断することで、接客のトーンを決めることができる。

☆趣味

多くのお客様は周りからの評判を気にするのでお客様の趣味などは、お客様のまわりにいる人たちの好みを知る材料として使える。

☆職業

職業により、スタイルのテイストの幅を決定することができる。例えば、同じキュートな感じというオーダーでも学生と銀行員では違っているので、注意する。

☆好みのヘアスタイルの傾向

具体的にどんな雰囲気になりたいのかを聞き出し、お客様の満足するスタイルをデザインするための材料。場合によっては、スタイルカタログなどを使用し、なるべく具体化させるのがポイント。

✳️毛髪のチェック

問診、視診の他、髪を触って判断する触診で見極める。

☆髪質

☆カラー、パーマの有無

☆ダメージ度合い

上記の3項目は、最終的に提案するスタイルの幅を決める材料になる。例えば、ダメージ度が高い場合は、カットとトリートメントのみの提案をすることもある。

✳️カルテの書き方

技術者だけが書くのではなく、アシスタントがお客様の情報を積極的に書くようにしましょう。
お客様は、最初はなかなか心を開いてくれません。しかし、質問の投げ方によって真意をつかむことができ、そこからお客様との信頼関係をつくることもできます。
お客様のことを覚えるためにもカルテは非常に有効です。そのためにも3色ボールペンを使います。
黒は、技術。赤は、注意しなければいけないこと。青は、プライベートな話。
技術行程、注意事項、個人情報と色分すると便利です。

✳️スタイルチェンジのアプローチ

・主にレングスをチェンジさせる
・主に質感をチェンジさせる
・主に雰囲気をチェンジさせる

基本は、上の3点のいずれか、もしくは、組み合わせで対応していくのがポイント。保守的なお客様には3回の来店を通して徐々にスタイルを変化させていく。逆に、冒険心の強いお客様、大きな変化を希望するお客様には、1回目の来店時からビッグチェンジさせるスタイル提案をすることもある。

✳️来店心理

初回目   サロンの下見
2回目   サロンの実力をためし
3回目   サロンと自分との適性を確信する

3回の来店で固定客と判断する

✳️来店回数ごとの「お客様の要望」と「技術者の提案」の関係

・第1回来店時
技術者の提案 20%:お客様の要望 80%

・第2回来店時
技術者の提案50% :お客様の要望50%

・第3回来店時
技術者の提案60% :お客様の要望40%

✳️来店時の確認事項

☆初回来店

・事前にお客様のヘアと服装をチェックして、スタイル提案につなげる。
・カウンセリングシートの記入依頼、内容の確認。
・希望のヘアイメージをスタイルブックの写真で確認、提案。
・親しい他人から「どのような印象で見られたいか」を最初に話し合って決める。誰が評価するか、その人のセンスのも注意。
・その印象にふさわしい似合うスタイル選定と似合うと判断するポイントを確認する。
・そのスタイルで顔型の補正ができていることも付け加えて説明する。
・お手入れでの苦労点を慎重に聞く。
・それとなく、なぜ当店に来店したのかをたずねる。
・それとなく、なぜ他店から替わったのかをたずねる。
・店を替えた理由、原因が当店にもあるかないかを確かめながら接客。
・ヘアケアのアドバイス。
・今回のスタイル再現方法、アレンジ方法のアドバイス。
・次回のスタイルと必要メニューの提案。
・次回の来店時期提案。
・次回来店時の指名用の名刺をわたす。

☆2回目来店

・前回スタイルの問題点の解決と前回提案の実行。
・髪の状態を説明。
・自宅でのスタイリングの問題点をチェック、解決する。

☆3回目来店

・前回スタイルの修正。今回希望スタイルの模索。無指名なら担当者変更?
・スタイリング方法の伝達と商品(プロダクツ)の必要性の理解要請。
・スタイルの賞美期限告知。来店サイクルの提案。
・毛髪とスタイルを一緒に考える立場の強調→信頼感の醸成。



女性客の傾向


✳️性格編

☆理論派

「レイヤー」「毛量調節」など、美容の専門用語を多用する。考え方が理知的なので、筋道立てたカウンセリングや、プロセスの説明をしたほうが、理解されやすい。

☆感覚派

「フワフワした感じ」「バサッとならないように」など、スタイルの仕上がり感があいまいなときは、写真などを用いてある程度、具体的にさせておくことが望ましい。


✳️年齢編

☆10代後半〜20代前半

サロンジプシー層。自分に合ったサロンを見つけるため、サロンからサロンへ渡り歩く人が多い。スタイルに対しての冒険心があり、幅広いスタイル提案がしやすい傾向にある。

☆20代中盤

オシャレに対してのこだわりも強くなり、サロンに価値観を求めている。料金に対する技術の対価(費用対効果)を考えているので、アプローチの仕方も、より工夫が必要ななる。

☆20代後半〜30代

自分だけに似合ったスタイルを求める傾向が強くなる。それに伴って、個別対応してくれる技術者を見つけようとする。そのため、トレンドのスタイルより、似合わせを意識してアプローチするほうが望ましい。

☆40代以上

顔に丸みがない。髪が薄くなった。髪に
ハリがないなど、加齢による悩みを抱えていることが多い。また、旬なスタイルができないのではというイメージを持っている。そのため、施術では繊細さが必要。パーマでのノーテンションや薬剤塗布などには特に注意することがポイントになる。


✳️初めてご来店のお客様のカウンセリング

※10分~15分ほど

初めての来店の場合は念入りのお客様の情報を確認しているので少し時間がかかる場合があります

大きく分けて次の事を聞きます

  • 前回の施術確認
  • 今回の希望確認
  • 今抱えている悩み
  • お仕事での規定

1.前回の施術確認

まずは前回の施術の確認をします、これは実は聞かなくても髪の毛を見れば実際いつ縮毛矯正をしたのかや黒染めはいつしたのか?カラーリングはいつしたのか?などなどほとんどわかります。長年美容師を経験しているとカラーリングもマニキュアなのかヘアなのかカラートリートメントなのかもわかります。

わかるのに何で確認するの?って思われるかもしれませんが前回の施術を確認する事で見た感じの履歴+お客様の覚えている履歴で前回の施術でどんな事が行われていたかを正確にわかるようになるからなのです

実際お客様が3ヵ月前の事や1ヵ月前の事なんてあんまり覚えていない事がほとんどですが、自分の目で見た施術履歴とお客様の履歴を聞く事でかなりの精度で履歴がわかるようになってきます。

2.今回の希望確認

どんな感じになりたいのかを軽く聞きます、深く聞きません。

何となくイメージだけを聞いて終わりにしています。なぜなら普段髪の毛の悩みや・普段のお手入れ方法・職場での規定とお客様の希望をてらしあわせると希望を叶えるのが非常に難しくなってしまいお客様が家でスタイリングをしっかり行わなければいけなくなってしまうからです。

ですので、希望はさらっと聞きます、ここではしつこく聞きません。

3.今抱えている悩み

髪の毛に対しての質問ですが、たまに人生の悩みを話される方も見えます…それはそれで相談にも乗りますが

ここではお客様のくせ毛やスタイリング方法など実際家でどのように髪の毛のスタイリングをしているのか、どれぐらい時間をかけているのかで

お客様の悩みに触れます。そのなかで出てきたワードを解決するには今日の希望のスタイルを叶えるにはどのような施術方法がいいかを模索します。

逆に希望のスタイルが悩みを悪化させてしまうケースも珍しくはないので悩みをしっかり聞き込みます。

4.職場の規定&ライフスタイル分析

ここまでいろいろな事を聞いてきましたがさらにもう一つ、職場の規定や学校の規定です。

規定がない場合は職業か職種を聞きます、ここ重要です

実はお客様が美容院で聞かれたくないワードワースト1だからです、聞き方には最新の注意を払いましょう。

なぜワースト1位かというと日本人だからといってしまえば簡単だと思います、あなたも初対面の人にあまり職業とか家がどこにあるのだとかあまり聞いて欲しくない方が多いと思います。

私の場合最後に職種を聞くのですがかなり最新の注意を払って聞き込みます、聞くタイミングだ大切です。

カラーリングをされるのであれば職場ではどれぐらいの明るさが大丈夫なのかを聞きながらさりげなく聞く事が聞きやすいポイントになるのでこのスキルを身に付けましょう。

実際聞いておいた方が良いのは

  • 仕事内容
  • 結ぶのか
  • カラーリングの明るさ

です、私の場合は仕事内容を聞けば大体の規定が決まっているのでこちらからトーンの明るさや上記の内容を占い師のように当てに行きます。

お仕事をされていない方の場合は普段のライフスタイルを聞きどんな風に普段主婦業をしているのか?や今日着てきた服を見て想像で占い師のように当てに行きます。

5.スタイル決定

ここまでの内容を聞き込み初めに聞いておいた希望に対してどれくらいの施術と金額が必要なのかを提案します。

そのなかで希望スタイルを職場の規定や悩みやお手入れの具合によっては不可能な場合が発生してきます、ですのでお客様の希望スタイルに少しでも近づけるように

お客様の髪の毛を使ってビジュアルでしっかりと確認していきます。

スタイルブックでも良いのですがお客様の頭のなかではスタイルブックのモデルさんと同じようになると思い込んでしまうので、実際短くなった場合や軽くなった場合を

ビジュアルで確認していきますそうする事によりお客様と納得しながらスタイルを一緒に作っていけるのです。

後は自分のできる範囲でしっかりお客様にできるのかできないのかをはじめに伝えておく必要があります

後からこうだったのでできませんでしたでは絶対だめです、それは言い訳なのですプロとして決まられた予算、時間でできるのであればやりましょう

もし、それで施術できなくても大丈夫です、お客様との信頼関係を築くための一歩ですから

仮に断りお客様が他の美容室で施術してしっぱいした場合は自分が言っている事は本当だったんだとまた戻ってきます、必ずです。

とわ言え自分のできる技術の幅は常に広くする努力をしていく必要もあるので次回お客様が来店された時にはここまではできるという事をお伝えするかDM等で

出来るようになったなど送る事も大切になってきます。

by  bello